準決勝の思い出

エディ・ニュートンがチェルシーで初めて迎えたウェンブリーでのFA杯準決勝、そしてその3年後、ロンドンのライバルと戦ったベスト4の思い出について語ってくれた...

チェルシーが勝ったFA杯準決勝は、いつまでも記憶に残るというもの。元チェルシーのミッドフィルダー、エディ・ニュートンは2度にわたってこの舞台で活躍している。2017年はトッテナムを相手に再び準決勝ウェンブリーの舞台に立つ今回は、過去の甘い記憶を呼び起こすことにしよう。

 

まずは1994年、まだ改装される以前のウェンブリーでの準決勝を戦ったニュートン。そしてその3年後、今から20年前には、ハイバリーでまたも準決勝の舞台に立っている。

 

1994年のFA杯はグレン・ホドル監督の就任初年度。クリスマス明けから徐々に調子を上げていったチームは、準決勝でルートン・タウンと激突した。下部リーグながらニューカッスル、ウェストハムと1部のクラブを下しての快進撃となったが、チェルシーが3度目のジャイアントキリングを阻んでいる。

 

この時期はイングランドで多くのスタジアムが改装、あるいはテイラー・レポートに則っての縮小工事が行われたいたため、FAはウェンブリーでの準決勝開催を決定したのだった。

 

「公式戦をウェンブリーで戦うのは、あれが初めてだったんだ」と振り返るニュートン。

 

「相手はプレミアリーグのチームじゃないし、しかもルートンにはケリー・ディクソンがいた。チェルシーサポーターは彼の名前を呼んでいたし、なんだか妙な感じだったね」

 

「ウェンブリーでの一発勝負だから、ルートンも必死だったね。もちろん負ければ敗退さ。決勝に行きたい気持ちも強かったけど、うっかり足元をすくわれることだってある。ケリーに火がついて古巣相手にハットトリックなんか決めたら?いろんなことが頭の中をよぎったよ。もちろん相手への敬意は欠かさなかったけど、蓋を開けてみたら終始試合を支配しての完勝だったね」

ゴールを決めたガヴィン・ピーコックと、祝福するデニス・ワイズ

ディクソンがノーゴールに終わった一方で、ブルーズに2ゴールをもたらしたのがガヴィン・ピーコック。そんなゴールに絡んだのが、センターフォワードのトニー・カスカリーノだ。負傷離脱となったマーク・ステインの代役を見事に務め、チェルシー在籍期間でもベストの出来を披露した。

 

「トニーは過小評価されがちだったけど、賢い選手だし、あれは強みが出た試合だった」と話すニュートン。

 

「大一番だって何度も経験していたし、自分の持ち味を分かっていた。結局注目を集めたのはそれよりも後、フランスに行ってからだったけどね。当時のイングランドでは、彼のように大きなセンターフォワードはハイボールの出しどころになってたんだ。でも本当は足元が上手い選手だし、もっといろんなプレーができる選手でもあった。モノはもってたんだ」

 

ニュートンはルートンの攻撃の芽を摘む働きで快勝劇に貢献。ホドルはニュートンについて次のように語っている。「エディは安定感のある選手だ。この数ヶ月、エディのパフォーマンスがチームのパフォーマンスを反映していると言っても過言ではないね

 

「グレンはもっと評価されてもおかしくなかったはずだよ」と話すニュートン。「ジョゼ・モウリーニョがよくクラブの転換期と言われるけど、グレンも大きくクラブを変えた存在だった」

 

「影に隠れた仕事も多くこなしながら、新たな戦術も採用していた。ユース時代から数えても、あんなに戦術的な指導は受けたことがなかったよ。6番のポジションを任されたんだけど、初めてだったよ。イングランドでは8番のポジションが2枚で攻守に分かれた4-4-2を構成するのが伝統的だったからね。ディフェンスの前にポジション取りするように言われたんだ。今となってはマケレレやカンテがやっているポジションだけど、当時のイングランドではあまり知られたポジションじゃなかった。何をしたいのかは分かったけどね」

 

「あの日はファンもすごい声援だった」と話すニュートン。「当時のファンにとっては滅多にない機会だったから、気合いも入ってたね。ケリーの存在も大きかった。チェルシー時代の功績を考えれば当然だよね。あれで雰囲気は抜群になったし、試合内容も良くて、決勝進出を決められたんだ」

 

5月、雨の中行われた決勝ではマンチェスター・ユナイテッド相手に敗戦。さらに1996年の準決勝でもヴィラパークでユナイテッド相手に敗れたものの、この試合ではニュートンは足を骨折し欠場している。その翌年、今度はルート・フリットのもとニュートンは主力の一角として1997年の準決勝を、ハイバリーにてウィンブルドンと戦う。"クレイジー・ギャング"相手の試合にファンは不安を抱えてのキックオフとなった。

 プレー中のエディ・ニュートン

しかし結果は快勝。前半にマーク・ヒューズが先制点を記録すると、1時間過ぎにジャンフランコ・ゾラが追加点、最後はヒューズのダメ押し点で3-0、再びウェンブリーへと駒を進めたのだった。

 

「あらゆる面でこちらが上回っていたね」と振り返るニュートン。

 

「準決勝まで来ると、チームの優劣なんて関係ない。しっかり集中していい入り方をしないといけないんだ」

 

「前半が終わる頃には手応えを感じていた。プレスもきつくなかったし、ボール回しもこっちの方が速かった。セカンドボールもこっちのものだったし、自分たちのペースでプレーできていた。一旦リズムに乗れれば、相手はそう簡単に捉えることはできない。でもウィンブルドンはセットプレーも脅威だから油断はできなかったよ。必要ないフリーキックやコーナーを与えないようにしていた。最後まで自信を持ってプレーできたよ。正直思っていたよりも楽な試合になったね」

「フロード・グローダスも波に乗っていた。クロスやロングスローが来るのを予想して、しっかり対応していたんだ。ラインに立つだけでなく、状況に応じてプレーしていた。ああいうプレーができれば、もう相手の作戦の70%は封じ込めたようなものだよ」

 ウィンブルドン相手に2点目を決めたゾラ

試合の雰囲気はゾラがバックヒールでネットを揺らし2-0としたところで最高潮に。スタンドだけでなく、ニュートンも盛り上がったようだ。

 

「もちろん大興奮だったけど、抑えたよ。プロとして、まだあそこで終わりにするわけにはいかないからね。ファンはあれでリラックスできたかもしれないけど、ピッチで戦うなら話は別だ。フランコならやってくれると思っていた。特別速い選手じゃないけど、ボール扱いは抜群だからね」

 

「準決勝のもうひとカードはあの試合の直後でね。ワイジーがチェスターフィールドじゃ倒しがいがないって言ってたのを覚えている。みんなはそれでも優勝できればその方がいいだろって話をしていたけどね」

 

「ミドズブラがいいって言ってたんだ。結局はその通りになって、新たな歴史が刻まれたけどね」