ジョン・テリー - キャプテン、リーダー、レジェンド

今シーズン限りでの退団を発表したジョン・テリーの、チェルシーでの輝かしいキャリアを振り返っていこう...


どんな選手にも、そのキャリアにおいて様々なハイライトがある。

 

あの勝利、あのゴール、あのタックルやあのセーブ。それぞれの選手に、それぞれの1ページがあることだろう。

 

チェルシーで言えば、クラブの歴代最多得点記録保持者であるフランク・ランパードが決めた、ボルトン戦でのあの2ゴール。クラブ初のプレミアリーグ優勝へと導いたあのゴールシーンは、多くのサポーターにとって忘れられない瞬間だ。そしてディディエ・ドログバ、ペトル・チェフとなれば4年前のミュンヘンの夜は外せない。2人の活躍によって、ブルーズは欧州王者へと導かれたのだ。

 

ジョン・テリーはチェルシーで700試合以上に出場。その中で迎えたハイライトは、枚挙に遑がない。文字通り、数え切れないほどあるのだ。

 

キャプテン就任、初のタイトル、2005年のプレミアリーグ初優勝、2012年のチャンピオンズリーグ優勝、キャプテン500試合出場達成、ブルーズで過ごした時間とともに築き上げた数々のマイルストーンはもちろん、常に全身全霊でプレーしていたあの姿は、これからも語り継がれることだろう。

 

クラブ史に残るジョン・テリー。その存在はクラブの枠にとどまらず、イングランドを代表すディフェンダーのひとりでもある。

テリーはチェルシーのユース出身。クラブ史上最大の黄金期を、その中心で過ごしてきた。安定感、献身性、技術。テリーは常にチームのため、スタンフォードブリッジにピッチに立った初めての日から、最後まで走り続けてきた。

 

天性のリーダーシップを備えたテリーは、チームの心臓として長くにわたってクラブを牽引した存在だ。

 

試合を読む力に長け、そのポジショニングセンスが光る場面も数多く、そして両足で様々なパスを供給することもできる。プレッシャーにさらされた場面でも落ち着いたボール運びができ、チェルシーではあらゆる場面において常に存在感を放っていた。

 

往年の名キャプテンを見て育ったテリーは、2004年に正キャプテンに就任。ピッチ上だけでなく、新加入選手や若手選手への積極的なサポートなど、ピッチ外でもその影響力は大きかった。

そんなテリーがチェルシーでのキャリアをスタートさせたのは、14歳の時。その後ファーストチームに昇格すると、1998年、アストンヴィラとのリーグ杯でデビュー戦を迎える。

 

プレミアリーグデビューはその数ヶ月後、ボクシングデイに行われたサウサンプトンとのアウェイゲームだ。その翌月、FA杯ではスタメンデビューも達成。さらに翌シーズン、ジリンガム相手にはチェルシーでの初ゴールも記録。そして2001年12月、チャールトンとのホームゲームでは初めてのキャプテンも任されている。

 

2003年、チェルシーがチャンピオンズリーグ出場権を獲得すると、テリーはイングランド代表初キャップを記録。セルビアモンテネグロ代表戦で後半から出場している。その後代表でもキャプテンに就任、2度のW杯、2度のユーロを経験した。

 

2004年夏にはジョゼ・モウリーニョが新監督に就任、テリーが正キャプテンを任され、初タイトルとなるリーグ杯を手にする。その数ヶ月後にはプレミアリーグ優勝も達成。テリーは最終ラインの要として、年間15失点でのクラブ50年ぶりのリーグタイトルに大きく貢献。当然のようにPFA年間最優秀選手賞にも選ばれ、PFAとUEFAの年間ベストイレブンにも選出されている。

その翌年にはプレミアリーグ連覇を達成。テリーは変わらずレギュラーとして活躍を続け、クラブの年間最優秀選手賞も受賞。さらにその1年後、今度は新ウェンブリー初のFA杯決勝で1-0とマンチェスター・ユナイテッドを破り優勝を果たしている。

 

2010年にはFA杯連覇。このシーズンにはリーグも制覇し、クラブ初となる国内ダブルを達成。キャプテンとしてリーグ優勝を経験したのは、ロイ・ベントレイ以来の選手だ。

 

さらに個人賞も数多く手にしている。2005年、2008年、2009年にはUEFA最優秀ディフェンダーに選ばれ、2007年から2009年までは3年連続でUEFA年間ベストイレブンに選出。さらに2005年から2009年まではFIFA年間ベストイレブンに5年連続で選出と、どれだけ安定感のあるパフォーマンスを提供しているかが分かる。

 

そしてクラブの歴史に残る2011/12シーズンには、4度目のFA杯とチャンピオンズリーグを手にしてのフィニッシュとなったテリー。ミュンヘンでの劇的な一戦こそ出場停止とはなったものの、テリーの存在無くしてはチームの決勝進出はあり得なかった。ナポリとの一戦ではゴールを決め、3-1で敗れた第1戦の結果をひっくり返す大逆転劇に貢献。さらにスタンフォードブリッジでのバルセロナ戦では強烈なプレッシャーを跳ね返す強靭な守備力を披露した。

マルセル・デサイー、ウィリアム・ギャラス、リカルド・カルヴァーリョ、ギャリー・ケイヒルといった面々をはじめ、これまで25人のセンターバックとコンビを組んできたテリー。その誰もが、テリーとのプレーを克明に覚えているはずだ。

 

そしてチェフ、ランパード、ドログバとはチームの軸となる不動のレギュラーとして活躍。さらにアシュレイ・コールも加わったこの5人は、クラブの様々な新記録樹立を支える存在となった。

 

2014/15シーズンになると、ランパードとコールは退団。チェフとドログバもベンチを温める時間が増えていった中、テリーは相変わらずチームを牽引し2大会で活躍を続ける。

 

リーグ杯決勝ではトッテナム相手に先制ゴールを記録。これでカップ戦決勝での自身初となるゴールを記録すると、その後も好調ハリー・ケインを完全に抑え込む守備で、マンオブザマッチを受賞しての優勝を果たしている。

テリーはこのシーズンを、フィールドプレイヤーとしては2人目となるリーグ戦全試合フル出場を達成して、リーグ優勝を果たす。さらにクリスタルパレス戦ではキャプテンとしてチェルシー500試合出場も達成。優勝を決めたあとのリヴァプール戦では得点を記録、このゴールでプレミアリーグのディフェンダーとして最多得点記録を更新するに至った。

 

さらにこの活躍でPFA年間ベストイレブンに4度目の選出となると、フットボール記者協会の年間最優秀選手賞でも3位に選ばれる。

 

また2016年5月には、クラブ史上3人目となる700試合出場も達成。

 

近代フットボールにおいて、ひとつのクラブに留まりながら活躍を続けるのがますます難しくなりつつある中でのこの偉業に次ぐ偉業。テリーは常にクラブの中心であり続け、あらゆる面でベストを出し尽くしてくれた。

スタンフォードブリッジのマシューハーディングスタンドには、テリーを表す"キャプテン、リーダー、レジェンド"のバナーが飾られている。

 

プレミアリーグ4回、チャンピオンズリーグ1回、FA杯5回、リーグ杯3回、ヨーロッパリーグ1回、713試合出場66ゴール。そして今シーズンはまだ、ここにさらに数字を加える可能性も残されている。5月、ついにチェルシーでのキャリアを終えるテリー。この輝かしいキャリアを、さらに輝かせて終えられるように、みんなで応援しよう。